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中村弁護士コラム 第43回

株主総会の議案の取り下げ、変更について

弁護士 中村直人

既に発送した招集通知に記載してある株主総会の議案を取り下げたいと思うことがあります。例えば、定款変更議案などを提案したけれども、既に3分の1以上の反対投票が来て可決の見込みがなくなった場合とか、取締役選任議案で候補者が辞退の申し入れをしてきた場合などです。その場合の手続きですが、学説では、既に招集通知に記載している議案の取り下げには、総会日までに到着する通知で撤回の通知をしなければならないとするものが多いかと思います。又は株主総会の同意を得て撤回するという考え方もあります。実務的には、事前の撤回の通知は間に合わないことも多く、結局当日議長が議案の撤回を宣言してそのまま審議・決議をしないで済ませている例が多いのではないかと思われます。学説からは逸脱しますが、その方法によったとしてもその議題について決議をしていないので、決議取消訴訟などにはならないことから、それで足りるという判断かと思います。その場合は、総会前に、取締役会で議案の撤回を決議し、株主総会では議長から撤回の旨を宣言します。

次に議案の変更をしたいと思うこともあります。例えば取締役選任議案で取締役候補者が死亡した場合に、代替候補者を立てたい、などという場合です。もちろん総会日の2週間前までに、新しい議案を記載した招集通知を出し直せるのであれば、それで適法に議案を変更することができます。しかし実務的にはそういうことは難しく、議案の修正の手続きをとることになる場合が多いかと思います。その手続きですが、まず株主総会で原案を修正できる範囲については、予見可能な範囲内でなければならないと言われています。それは、株主は招集通知を見て出席の有無を決めているので、予想もつかない決議をされたのでは欠席株主に不意打ちになるからです。取締役選任決議で候補者の交代をすることは、その予想の範囲内であるとされています。次に、修正できる範囲内でも、会社が修正動議を提出して良いかという問題があります。これは会社提案議案については、事前に参考書類が交付されることになっているため、会社による修正動議を認めると、その潜脱になるからです。そこで実務的には、修正をする場合には、株主からも修正動議を出してもらうなど、工夫をしている例があります。

仮に修正動議を提出できるとして、実際にはそれについて可決に必要な賛成票を集めなければなりませんから、大変です。議決権行使書は原案賛成が多いので、修正案には反対になってしまいます。実務的には大株主がいて修正動議に賛成してくれるなどの事情がある場合にしか、修正は難しいかと思います。

最後に議題の追加ですが、議題の追加については招集通知に記載した事項しか総会では決議できないとされているので、2週間前までに追加した招集通知を発送できる場合にしか追加はできないことになります。

会社法では、参考書類の記載事項について修正事由が生じた場合に、いわゆるウェブ修正ができるとこととされています(会社法施行規則65条3項)。しかしこれはこの手続きを経れば議案の修正も自由にできるということではないので、上記の要件は満たす必要があります。したがって、誤植の修正や議案の内容の変更にはならない事項の修正に限られることになります。

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