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中村弁護士コラム 第45回

公開買付制度について

弁護士 中村直人

金融商品取引法の公開買付けの制度は、多様な目的を持っています。まずは不特定多数の投資家に一定の条件での売付の申込みを勧誘するわけですので、応募するかどうかを判断するために必要な情報を開示させる目的があります。また投資家間で不平等な取扱いとならないよう画一的な条件を定めさせる目的(金融商品取引法27条の2第3項の均一条件等)や、不当に投資家の判断を歪めないようにする目的(例えば速い者順ではなく均等割付とすることや、公開買付期間の制限等)もあります。更に3分の1ルールは、単純に情報の開示や不公平な取扱いの規制に留まらず、支配株のプレミアムについて、一般の株主もその恩恵を受けることができるよう、公開買付けを義務づけています(異なる説もありますが)。

それに加えて、金融商品取引法では、対象会社に公開買付けに対する意見を表明するよう義務づけ、また対象会社の公開買付者への質問の制度と、これに対する公開買付者の回答の制度を設けました。これは非友好的な公開買付けの場合に問題となることで、非友好的買収の場合には、対象会社と公開買付者の間で議論をさせ、その情報を投資家に提供して、当該公開買付けを成功させるかどうかは投資家が判断するという枠組みを明確にしたものです。要するに敵対的買収に際しては、その是非は経営者ではなく株主が判断するという考え方です。

現在では、公開買付けは頻繁に利用されています。ほとんど毎日どこかで新しい公開買付けが行われています。その種類は、友好的なM&Aのためのもの、子会社の完全子会社化のためのもの、3分の1ルールに抵触するため行われるもの、MBOなどの非公開化のためのもの、などがあります。対象会社の意見表明は、多くのものが公開買付けに賛同していますが、しかし株主が応募すべきかどうかについては、特に推奨せず、株主の判断に任せる、というものも多くなっています。これは公開買付けに賛成するかどうかという場合、審査ポイントは、1.当該公開買付けは企業価値の向上に資するかどうかという点と、2.公開買付け価格は適正であるかどうかという点があり、前者については前向きに判断できるものの、後者については、専門家による評価がなされていない場合や利害関係があるなどの理由により、価格の適正性については責任を持てないことがあるからです。

前述の公開買付者に対する質問の事例としては、平成21年6月23日付日本ラッドによる意見表明報告書の事例、平成19年6月4日付天龍製鋸による意見表明報告書の事例、平成19年5月25日付ブルドックソースによる意見表明報告書の事例などがあります。以前は敵対的買収の場合、直ちに反対意見を出す事例が多かったのですが、現在では適切に情報を収集して検討の上、意見を形成するのが適切であると考えられてきています。そのため、まず最初の意見表明では賛否は留保して、たくさんの質問を行い、その回答を見て最終的な意見を表明するという手続きを踏んでいます。