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中村弁護士コラム 第61回

株主総会決議事項

弁護士 中村直人

株式会社には株主総会があります。会社法施行以前の有限会社型である取締役会非設置会社では、株主総会は万能の決定機関ですが、会社法施行以前の株式会社型、すなわち取締役会設置会社では、株主総会の権限は限定列挙です(会社法295条)。それは、所有と経営を分離して、自ら経営をしない者でも出資をすることができるようにするものです。それによって多くの資金を集めたり、効率的な資金運用が可能になります。

株主総会の決議事項は、ここ十数年の法改正では、広くなっていく部分と、狭くなっていく部分があります。株主総会の権限から取締役会の権限に移行されている事項としては、例えば簡易合併等の簡易な再編手続の創設・拡大や略式手続の創設、剰余金処分の取締役会決議事項化、委員会設置会社における役員報酬の委員会決議事項化などが上げられます。他方、株主総会の決議事項が拡大している事項としては、従来強行規定であったものが定款自治という形で株主総会の決議事項とされたもの(機関設計の自由化等)や、全部取得条項付き株式の取得の決議の創設などがあります。

最近、買収防衛策などにおいて、株主総会の決議を取る例が見られます。これは、「株主が了解しているのだからいいだろう」という発想であり、ブルドック事件の最高裁判決などもあって、このようなケースも増えています。このような流れで、本来株主総会の決議事項でないのに株主総会に諮るという、いわゆる勧告的決議も行われるようになりました。取引所の規則などでも、「株主の意思確認」(有価証券上場規程432条)などの手続が現れています。しかし、このような発想は不十分な面も抱えております。たとえば、株主間の利害の調整として、多数決で決めていいことと、多数決で決めてはいけないことがあるのではないか、という問題もあります。また株主以外の関係者との関係では、株主総会で決めたからいいとはいえません。

最近の実務では、株主総会決議の要否が必ずしも明確でないとき、例えば簡易組織再編にあたるかどうか明確でない場合などに、念のため株主総会に付議するというようなことも行われています。以前は、株主総会決議事項でないものを総会に付議することなど考えられなかったのですが、実務も柔軟になってきたということでしょう。

もう一つ、今年の株主総会で注目されたのが、株主提案権のあり方です。数十件から100件といった膨大な数の株主提案をわずかな株数しか持たない株主が提案する事例が生じました。これは招集通知の発送や議決権行使書の手続など、総会の運営実務にとって大きな障害となります。このような泡沫的かつ濫用的な提案ができてしまうというのは、非常に問題であり、適切な法改正が望まれます。何とか次の会社法改正に載せられないものかと思います。

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