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中村弁護士コラム 第64回

ライツ・オファリング

弁護士 中村直人

今年に入って、ライツ・オファリングを利用する会社がいくつか出てきました。ライツ・オファリングというのは、経済的には、株主割当増資の一種といえます。具体的には、新株予約権を株主全員に無償で割り当て、株式の取得を希望する株主は新株予約権を行使して、株式を取得します。取得を希望しない株主は、割り当てられた新株予約権を市場で売却して、その対価を回収します。欧州では、しばしば行われている資金調達手段です。

日本では、平成23年の金商法改正により目論見書の交付方法の弾力化などが行われ、また会社法改正要綱でも新株予約権無償割当ての手続が改正される見込みとなるなど、徐々に環境の整備が進んできました。懸案であった外国人株主への割当てと外国での開示の要否の問題についても、平成23年に金融庁の「開示制度ワーキング・グループ法制専門研究会報告〜ライツ・オファリングにおける外国証券規制への対応と株主平等原則の関係について」で考え方の整理がなされています。

増資の方法としては、公募増資と第三者割当増資がありますが、公募増資や第三者割当増資の場合、既存株主の持株比率は低下してしまいます。また、近年大規模な第三者割当増資を行って、会社支配権が移動したり、極端な希釈化が起きてしまうようなことが起きました。この点、ライツ・オファリングであれば、既存の株主は、持株比率を維持したければ新株予約権を行使すればよいので、持分比率の低下というダイリューションは起きません。そこで株主に優しい増資などともいわれています。ただし、あくまでも増資の一種であって発行済株式数が増加することは間違いありませんので、増資した資金で従来以上の収益を上げることができなければ、1株あたり利益は低下してしまいます。その意味でのダイリューションは生じうるわけです。そのため、ライツ・オファリングの発行を決めた銘柄の中には、株価が急落してしまうものもあります。

また新株予約権を売却できる期間は決まっているので、株式取得を希望しない株主が売り急ぐため、新株予約権の価格ひいては株価も低下するという現象も起きているようです。

発行企業からすると、新株予約権を無償交付するだけでは、新株予約権を行使して株主が払込をしてくれるかどうか分かりません。そのため増資によって得られる資金がいくらになるか分かりません。それでは困ってしまうので、コミットメント型ライツ・オファリングといって、行使されなかった新株予約権を証券会社が一括して引き取り、行使するという方法もあります。日本証券業協会が制度の整備を進めています。

これまでのところ、ライツ・オファリングは中小規模の企業で利用されているようですが、今後大規模企業でも利用されるようになるのかどうかが注目されます。

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