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中村弁護士コラム 第69回

平成26年会社法改正(1) 〜社外取締役元年

弁護士 中村直人

先の国会で会社法改正案が成立しました。社外取締役に関しては、社外取締役がいない会社については、定時株主総会で、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明しなければならないことになりました(改正法327条の2)。

国会での審議に際して法務省は、この「理由」について、「特殊な書き方をしておりますので、置かない理由を説明するだけでは足りない」、「社外取締役に適任者がいないというようなことのみを説明しても、これは説明になっていない」、「社外取締役を置くことがかえってその会社にマイナスの影響を及ぼすおそれがあるというような事情を説明しなければならない」などと説明し、「ごく普通の企業で相当でない理由を説明するのは相当困難であろう」としています(4月16日衆議院法務委員会議事録)。そして、株主総会参考書類に「置くことが相当でない理由」を記載するルールに違反した場合、取締役選任決議に瑕疵、取消事由があると判断される場合もあり得るとしています。

ここまで言われてしまいますと、もう置かないことのリスクのほうが遥かに大きくなりますから、各社とも社外取締役の選任に向けて一斉に走り出しました。 また東証も、独立社外取締役を少なくとも1名以上置くことを努力義務としました。今後、新規上場や市場変更の度にしっかりチェックされるものと思われます。

今年の2月には、日本版スチュワードシップ原則が公表されました。これは機関投資家向けの行動規範ですが、既に多くの機関投資家がその受け入れを表明しています。これによれば、機関投資家は、議決権行使の方針を定め、その行使結果を公表し、また投資先企業と「目的を持った対話」をすることになります。当然、社外取締役がいない取締役選任議案への対応は厳しくなることが予想されます。

また、経産省の「対日直接投資に関する有識者懇談会」は、本年4月21日に報告書を公表しましたが、その中で、コーポレート・ガバナンスについての課題あるいは外国企業からの提言として、@日本のコーポレート・ガバナンスのあり方は株主の立場をよりストレートに反映する外国企業に比べ、透明性に欠け、企業収益率の低さの一因となっていること、A取締役の少なくとも3分の1は独立社外取締役とすべきこと、B独立社外取締役についてはグローバルなベスト・プラクティスに則って会社法で定義すべきこと、C取締役の研修に関する会社の方針を開示すべきこと、を指摘しています。機関投資家のカルパースも、同じような要求を有力企業に書簡で送ってきたとのことです。

さらに経産省の「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」は、本年6月30日に、中間とりまとめとガイドラインを公表しました。その中では、社外役員に期待される役割や、企業のサポート体制について、さまざまなベスト・プラクティスを明らかにしています。

社外取締役導入論については、過去何年もの間、膠着状態だったのですが、ここにきて一気に社外取締役導入に傾いた感じです。今後未設置の会社は、社外取締役を導入するか、監査等委員会設置会社に移行するか、真剣かつ早急に検討する必要があります。

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