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中村弁護士コラム 第70回

平成26年会社法改正(2) 〜監査等委員会設置会社の新設

弁護士 中村直人

改正会社法では、新しく監査等委員会設置会社という企業モデルが導入されました。既に採用を検討している会社もぽつぽつ出始めています。

指名委員会等設置会社(現在の委員会設置会社)は、指名・報酬委員会を設置して社外取締役が過半数となることもあり、なかなか実務では採用されませんでした。一方で、ガバナンス強化の要請は強く、社外取締役の導入が強く要請されるようになりました。監査役会設置会社のままで社外取締役も導入すると、いかにも重複感がありますし、人選も大変です。

もともと日本の監査役会設置会社が、海外でなかなか理解して頂けないのは、(社外)監査役が取締役会での議決権を有していないため、それで監督ができるのか、という疑問から発しています。経営者に対する人事権を有していない者が監督できるはずがないというのが彼等の常識なのです。そこで監査役に取締役会での議決権を与えてしまえば、そのような疑念も払拭できるし、人材の重複感も生じないであろうということで、丁度指名委員会等設置会社と監査役会設置会社の中間的な形態として、監査等委員会設置会社が新設されたのです。

したがって、監査等委員会設置会社は、今の監査役に取締役会での議決権を持たせたもの、とイメージすれば、分かりやすいと思います。「監査等委員である取締役」は、その選任や解任、報酬等の「地位」は、現在の監査役とほとんど一緒です。他方、その「仕事」の仕方は、組織監査であり、現在の委員会設置会社の監査委員会とほとんど同じです。

監査委員会との違いは、監査委員会は、取締役会の下部機関であり、その委員は取締役会が選任します(この取締役会は社外過半数でなくていいことになっています)。しかし監査等委員会の委員は株主総会が選任します。したがって、その地位は監査等委員のほうが強いわけです。また指名・報酬という監督機能についても、監査等委員会は、それらにつき意見が言えることとされています。言える以上、しっかり調査検討しなければなりませんから、ガバナンスについてもそれなりの機能を発揮するでしょう。

また監査等委員会設置会社では、定款に記載がある場合または社外取締役が過半数の場合は、重要な業務執行の決定を取締役に委任することができます。これによって迅速な意思決定が可能になるとともに、業務に詳しくない社外役員に業務上の決定をさせないで済むことになります。これは業務の決定の迅速化、専門化という効果とともに、社外役員の責任範囲の適正化という役割も果たすことになります。社外役員の時代にふさわしい企業モデルと言えそうです。

ガバナンス態勢としての世の中の評価ですが、まだ明確ではないものの、監査役に取締役会での議決権を付与した分だけ進歩していると評価されているようです。

現在、導入を検討しているのは、社外役員の人選に苦労している会社だけでなく、ガバナンスをさらに進展させたいと考えている大会社もあります。移行手続としては、定款を変更した上、新しい役員を選任するなどが必要になりますが、取締役会の位置づけや広報戦略など、幅広く新しい体制について検討すべきです。

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