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中村弁護士コラム 第72回

平成26年会社法改正(4) 〜改正会社法施行規則における株主総会招集通知の変更点

弁護士 中村直人

改正会社法施行規則が公布されました。株主総会の関係では、事業報告や株主総会参考書類の記載事項に大きな改正がなされています。

参考書類に関しては、監査等委員会設置会社の関係や株式併合関係など、一般の会社にあまり関係のない部分を除くと、取締役選任議案(74条)、社外取締役候補者がいない場合の特則(74条の2)、監査役選任議案(76条)などが重要なところです。取締役選任議案に係る改正は、74条3項で、親会社の概念が拡大されて自然人を含む「親会社等」とされたことから(3条の2)、「他の会社」が「他の者」にされました。4項では、過去のその会社・子会社における業務執行者等の経歴、過去の親会社等での経歴、特定関係事業者における経歴、親族関係等が開示されることになりました。これらは親会社等の概念が創設されたことや社外役員の資格が強化・緩和されたこと等を受けたものです。

経過規定では、附則2条5項は、施行日前に株主総会の招集手続が開始された株主総会に係る参考書類の記載については、旧法によるとしています。「招集の手続が開始された」というのは、法298条1項各号に掲げる事項が取締役会で決定された時点を指すと法務省は解説していますので、大半の3月決算会社は新法になると推測されます。この中で、附則2条2項は74条3項について、附則2条4項は特定関係事業者の定義について、それぞれ施行後最初の決算期にかかる株主総会までは、旧法でよいと猶予期間を設けています。これは親会社等の概念が創設されたことに伴い、会社として調査の期間が必要だと考えられたことによります(特定関係事業者の概念も同様に改正されています。2条3項19号)。

事業報告に関しては、118条2号で、内部統制システムの運用状況の開示が求められるようになりました。その内容については、法務省は、内部統制に関する委員会の開催状況や社内研修の実施状況、内部監査部門の活動状況等を記載することが考えられるとしています。実務的には、コンプライアンス・プログラムの実施状況など、各社のその年の取組みを記載すれば良く、その取捨選択には広い裁量があるものと思われます。また118条4号は、特定完全子会社の開示を、また同条5号は、関連当事者取引に係る開示を求めています。後者は、ガバナンス・コード原案でも指摘されており、早急に対応することが求められます。その他、親会社等に関わる改正(124条3号)、社外取締役に関する改正(同条2項)、会計監査人の報酬等に同意した理由の開示(126条)などがなされています。

事業報告の経過規定については、施行日前に到来した決算期に係る事業報告については、原則として旧法が適用されますが、施行日以後に監査役の監査を受ける事業報告については、124条2項3項の事項(社外取締役を置くことが相当でない理由)を適用することになっています。「監査を受ける」というのは、監査役から監査結果の通知を受けられた時点を指します。

今回の改正では、経過規定の読み方がなかなか難しく、過去の解釈が変更された部分もあるので、注意が必要です。

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